光合成細菌の利用
「光合成細菌」とは
水田から分離したもので臭気、汚水処理、畜舎の飼育環境などの改善に、予想以上の成果を上げています。
太陽エネルギーを利用して生育する細菌で、地球上に広く分布し、特に水田、溝、河川、湖沼、海岸、活性汚泥、土壌中いたるところに生息している。環境条件によって多面的な機能(炭酸固定、炭酸ガスの放出、窒素固定、脱膣作用、硫化物の酸化など)を発揮し自然界における炭素、窒素、硫黄の循環に大きな役割を果たしている。
「このような生理的、生態学的機能を利用した光合成細菌には、廃水処理、菌体利用についても、その真価が最近ようやく多方面に理解されはじめました。」と光合成細菌の専門書には記述されております。
現在、当社が培養している菌は、水田の表面の土から分離し継代増殖したものですが、光合成細菌のうち紅色非硫黄細菌と言われる菌種が中心となっているものと推察されます。嫌気性の菌ですが、好気でも増殖し、また暗い条件でも生育する幅広い環境条件に対応する性質を持っています。なお、脱臭及び汚水浄化の原理としては、有機物の分解過程で生ずる低級脂肪酸などの代謝産物の分解が主と考えられます。
◎農業への利用(水田、野菜、園芸、水耕栽培、果樹など) 期待される効果としては色々上げられます。
1. アンモニア、硫化水素、各種有機酸など有害物質の軽減
2. ビタミンB12、カロチン、核酸、ALA(アミノレブリン酸)など有用物質を豊富に含有
3. 土壌や堆肥中のバチルス菌、放線菌など有用菌の増殖促進
4. フザリウムなどとの拮抗
5. 大腸菌、サルモネラ菌など腸内細菌の自然界からの消滅促進
6. 土壌,汚水、堆肥などの脱窒素作用また反対の窒素固定作用
7. その他 これらの効果が相乗され、結果として根の張りの改善につながり作物の収穫量、品質向上などよい影響が出てくるものと考えられます。
なお、これらの効果が出てくるまでには、継続的な使用が大切であります。
従来は光合成細菌が非常に高価であったことから、使用量が限定され本当の効果が発揮されていない場合もあったのではないでしょうか。
このことから当社が目指している安価で良質な培養液の必要性もご理解いただけるものと思います。
また、光合成細菌の使用による作物への副作用はほとんどありませんがpHが8.5前後とややアルカリ性ですので100倍以上に薄めてご使用ください。
量としては、水田では10a当たり原液換算で5~10㍑×2回程度の使用が一般的です。
先にもお断りしましたとおり、一定の使用基準はありませんので、出来ればそれぞれの使用現場において対照区を設けていただいて、ご利用くださいますよう切にお願い申し上げます。
◎畜産への利用
“どの程度の濃さのものを、どの位の量撒けばよいか”のご質問をよく受けますが、無責任のようですが、お使いいただく環境はすべて異なっておりますので、適当にお使いくださいと申し上げております。但し、人の臭覚を利用した官能試験の結果では、500倍でも十分効果が認められておりますので、一応、濃度は500倍としております。具体的に、堆肥には濃い液を、細霧装置での散布には薄い希釈液など、使い分けをしてください。継続は力なりのたとえがあります。一週間に1回程度の散布でも農場全体の臭気が著しく改善されております。下記に使用例を上げておきますのでご参考にしてください。
○畜種別使用例と効果
酪農、肉牛 | 週1~2回バーンクリーナー、畜舎の床、尿溝、尿溜などに10~50倍程度に希釈して散布(ジョウロが簡便) 臭気、スカムの減少、床面のすべりの改善など |
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養豚 | 週1~2回100~500倍程度に希釈して、動墳や細霧で舎内の散布 臭気、スカムの減少、浄化槽の改善(臭気、SSの減少、操作の容易化)など |
養鶏 | 週1~2回100~500倍程度に希釈して細霧で散布 除糞後や強制換羽時には濃い目にして散布 臭気の軽減 |
共通 | 堆肥舎への散布 生糞2~3㎥に対して0.5~1ℓの原液を濃い目に希釈して散布、発酵時の臭気の軽減、発酵の促進、堆肥の無臭化など |
※ 試験管内の実験ではSEを始め各種のサルモネラ菌及び病原性大腸菌O-157も極めて減少することが判明しております。※ 畜産経営以外での利用としては養殖水産(ウナギ、金魚、スッポンなど)、一般耕種農家、生ごみ処理、食品製造関係の浄化槽など、幅広い分野で利用されてきています。
○安全性の確認 生菌資材はとかく目に見えないものだけに、安全性が重要です。マウスの発育及び接種試験を行って、安全性を確認しておりますが、家畜への使用に当たっては、ふん尿への散布を原則としております。
サルモネラ菌、O-157に光合成細菌を1%添加したときの結果(抜粋)
区分 | 5日後 | 10日後 | ||
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サルモネラ菌 | SE (5.0×109個) | 対照 | ∞ | 1.1×108個 |
1%区 | 700個 | 2個 | ||
ST (5.0×108個) | 対照 | ∞ | 1000個 | |
1%区 | 400個 | 0個 | ||
SD (1.0×108個) | 対照 | ∞ | 1.5×107個 | |
1%区 | 100個 | 0個 | ||
O-157(3.6×107個) | 対照 | ∞ | 3.0×105個 | |
1%区 | 100個 | 0個 |
※ SE、STは鶏糞5%水溶液を、SD、O-157牛ふん10%水溶液を使用 ※ SE、ST、SDは菌の種類 ※ 区分欄の()内の個数は使用した菌の1ml中の個数、対照は光合成細菌を添加してない区
菌の安全性の確認マウスの発育試験 (光合成細菌液)
区分 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 |
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通常飲水区 | 3.4 | 0.7 | 2.1 | 10.4 |
10%飲水区 | 5.5 | 1.5 | 2.6 | 12.3 |
100%飲水区 | 4.4 | 2.2 | 3.9 | 12.1 |
各区6頭、2週間飼育。前後の体重差(g)
マウスへの接種試験 (光合成細菌液、耐熱性バチルス菌液)
方法 | 原液0.5ml筋肉注射育成マウス各3頭 |
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結果 | 2週間後異常なし |